2017 7/29

『ヒルビリーエレジー』★★★★★

 J・D・ヴァンス著。トランプ現象がらみで読んでおくか、程度のつもりで借りたが、単純にめちゃくちゃ面白かった。もちろん現代アメリカ理解のためにも役立つ。

『大いなる天上の河』★★★

 グレゴリイ・ベンフォード著。『BLAME!』映画化の影響で再読。初めて読んだのは大分前。直接の元ネタのひとつとして知られる。

『ゲーム・プレイヤー』★

 イアン・M. バンクス著。何かで思い出した。もちろん古く感じるところもあるけど、時代の割には新しげな設定。

『ベストセラーコード』★

 ジョディ・アーチャー著、マシュー・ジョッカーズ著。まだまだこれからの分野の気はするけど、面白い。

『あなたのセキュリティ対応間違っています』★

 辻伸弘著。セキュリティは専門じゃない自分にはちょうどいいレベルな感じ。

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』★

 川上和人著。内容も味付けも嫌いじゃないんだけど、いくら何でもちょっとギャグ過剰。

『成功する人は偶然を味方にする–運と成功の経済学』★★★★

 ロバート・H・フランク著。成功には運の要素が大きいので、累進消費税によって一人勝ち経済の勝者から取って、不運な人に補助するようにしようという主張。内容はほぼ既知だが、適度にわかりやすくていい。

『ナニワ金融道』★★★★★

 青木雄二著。何度か言及したけど、そのもの自体をおすすめしたことはなかったな、と思って。

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2017 2/24

『ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた』★

 ランドール・ マンロー著。非常に簡単な単語だけで難しいことを説明する。この人らしい皮肉も効いてる。あと、とてもでかい(物理的に)。

『ベルサイユのばら』★★★

 池田理代子著。妻経由。実は初めてちゃんと読んだ。歴史に残るだけのことはある。

『分断されるアメリカ』★★★

 サミュエル・ハンチントン著。竹中正治氏のfacebookで見て読んだ。確かに、トランプ後に読むと示唆的に思えてくる。

『米中もし戦わば 戦争の地政学』★★★

 ピーター・ナヴァロ著。原題”CROUCHING TIGER”((飛びかかろうと)かがむ虎)これも竹中正治氏のfacebook見て読んだ。邦題は的外れではないが、やや煽り気味。

『逃げるは恥だが役に立つ』★★★

 海野つなみ著。ドラマ未見。意外に面白い。

『ダンジョン飯 4巻』★★★★

 九井諒子著。やっぱり面白い。

『シュガシュガルーン』★

 安野モヨコ著。妻経由。安野モヨコって大人向け専門かと思ってた。

『天と地の守り人 第1部 ロタ王国編』★★★★

 上橋菜穂子著。最終章第1部? 「帝」がわかりやすい悪役すぎるのがちょっとひっかかるが、変わらぬ面白さ。

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2016 10/1

『ダンジョン飯』★★★

 九井諒子著。3巻。まだまだ面白い。

『ナナのリテラシー』★

 鈴木みそ著。Kindle Unlimitedで鈴木みそのがいっぱいあったのでいくつか読んだが、薦められるのはこれだけかな。時事的なのですでにちょっと話題は古いが。ガチャ関係でたまに見る「脳内麻薬で留めることが大事だ」のページの元ネタってこれだったのね。

『カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する 』★★★

 エレツ・エイデン著、ジャン=バティースト・ミシェル著。こりゃおもろい。もっと早く読めば良かった。内容は例によってshorebird先生にお任せ。

『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか』★★

 ランドール・ マンロー著。これも存在は知ってたが、今まで読んでなかった。こういう真面目に馬鹿をやる感じ好き。

『アメリカの真の支配者 コーク一族』★

 ダニエル・シュルマン著。面白かった。原題”Sons of Wichita: How the Koch Brothers Became America’s Most Powerful and Private Dynasty”(ウィチタの息子たち:コーク兄弟はどのようにしてアメリカで最も強大でプライベートな王朝となったか)。邦題はいまいち。

『永遠の終り』★★★

 アイザック・アシモフ著。何かで思い出した。初めて読んだのは大昔。今読むと古さは否めないけど結構好き。

『宇宙が始まる前には何があったのか?』★★★

 ローレンス・クラウス著。宇宙論系。単独でこれという新しい知見はなかったが、いい。

『多世界宇宙の探検』★★★

 アレックス・ビレンケン著。上ので思い出した。初めて読んだのはだいぶ昔。

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2014 1/29

東方儚月抄 ?Silent Sinner in Blue. 上巻 (IDコミックス REXコミックス)

 完全に書く機会を逃した何年も前のネタだが、未だに他で見ることがない話なので、消すのももったいない。要点のみの縮小バージョンで公開。

 本当はこの前に、博麗霊夢・八雲紫・幻想郷についてのそれぞれ単独エントリがある予定だったので、唐突に感じるところがあるかもしれないが御容赦されたし。

要旨

 東方Projectの月――もう少し限定すると『東方儚月抄』の月の都――はアメリカ合衆国の象徴であると考えることで、儚月抄の数多くの疑問点・不満点を説明することができる。*1

儚月抄とアポロ計画

 儚月抄には全面的にアポロ計画のネタが登場する。これは私の世代*2で月を題材とする以上、当然と思われることだが、それだけに、以下に述べるアメリカ要素に対して隠れ蓑の役割を果たしている。

第一次月面戦争=太平洋戦争

 儚月抄の大きな不満点として、思わせぶりな設定であった第一次月面戦争について結局ほとんど何も書かれないままだったということがある。だが、書かなかったのではなく書く必要がないのだ。みんな知っていることだからだ。

 当時強力で調子づいてた妖怪たちが月に攻め込んで、その超科学兵器の前にケチョンケチョンにされた第一次月面戦争とは、当時強力で調子づいてた大日本帝国が米国に攻め込んで、その物量の前にケチョンケチョンにされた太平洋戦争のことに他ならない。

東方儚月抄 中―Silent sinner in blue (IDコミックス REXコミックス)

依姫無双=アメリカと戦って勝てるわけがない

 既存の人気キャラたち*3がぽっと出の新キャラにゴボウ抜きにされてしまった依姫無双事件。名前がついてしまうぐらい不評である。

 人間より絶対的に強いものが存在して当たり前という宗教的感覚を持つ神主と、持っていない現代っ子読者との意識の落差とも取れる。(実際その要素はあるだろうと思う。)

 だが、アメリカと戦って勝てるわけがねーだろという感覚を当たり前に持っていて今更不愉快とは感じない世代と、あまり持っておらず*4素直に幻想郷=日本TUEEEEEを楽しみたかった世代の落差とも取れる。

紫土下座=原爆の前に降伏できなかったのか?

 決して姿を見せない博麗の神に代わって事実上博麗神社の祭神として振舞っている八雲紫が、月のちょうかがくへいき「森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子」を振りかざす綿月豊姫に、あっさり土下座してしまった場面。

 これまた大変不評なシーンであるが、原子爆弾を落とされる前に降伏できなかったのかという願望*5のファンタジー化と見ることができる。

 第二次世界大戦に勝ちたかったという願望をファンタジー化した作品は沢山あるが、もっと早く降伏できなかったかという願望をこうも明確にファンタジー化した創作はあまりないのではないだろうか。少なくとも私は知らない。

東方儚月抄?Silent Sinner in Blue. 底  (IDコミックス REXコミックス)

フェムトファイバー(笑)=アブグレイブ刑務所

 場違いな語感と無駄に長い説明ゼリフで笑い草になっているフェムトファイバー*6だが、月=アメリカの視点で見ると、

紫「不浄なもの、をねぇ………土着の神様もその縄で縛ってきたくせに」
豊「…そうね。察しのとおり、正確に言うと月の民に逆らう者の動きを封じるのに使ってきたのよ」

 のあたりは、連載時期から考えてもイラク戦争批判に見える。

酒オチ=精神勝利法

 伏線不足の上まったく意味不明とこれまた人気のない酒オチであるが、月=米の観点からは、

「圧倒的な軍事力を振り回してイラク戦争とか起こしてるお前ら米国よりも、上手く従属して見せてのんきに楽しく暮らしてる俺達日本の方が精神的に勝利してるんだぜ」

 という、多少なりとも意味のある解釈が可能になる。

 少なからぬ現代日本人が持っている、アメリカに対する屈折した優越感を表現したものと受け取れる。私にとってはとても自然な*7感覚だが、これがやはりもう少し下の年齢層には通じなかったのではないかと思われる。

東方儚月抄 ?Cage in Lunatic Runagate.

その他未整理のネタ

  • 八意永琳の配色は星条旗に一致するように見えるが、偶然か?
  • 東方Projectのシェアを艦これが猛烈に食っている(ように見える)現在の状況は興味深い。ひとつの時代精神の転換の現れでありうるかもしれない。

*1:もちろん儚月抄のクオリティが全体に低いことは否定できない。
*2:私は神主より2歳年下なだけであり、時代精神的には同世代と言ってよいと思われる。
*3:霊夢・咲夜・魔理沙・レミリアの4名。設定上の時系列で未登場となるため出ていない早苗を除けば、当時の人気投票上位5名と完全一致する。参考:第6回東方シリーズ人気投票 キャラ部門集計結果
*4:実際の軍事力のアメリカ一強ぶりは、私が子どもの頃よりむしろ現在の方が際立っていると思われるが、今は現実ではなくイメージの話をしている。
*5:一番最近見たのはこれ。「なぜもっと早く降伏できなかったのか」を議論しよう:日経ビジネスオンライン
*6フェムトファイバーのまとめ – 東方儚月抄スレまとめ Wiki*
*7:屈折していることは承知の上で。

おまけ

 というわけでZUN素で「ガイジン」役が月勢力に割り振られているのも偶然ではない。(超下ネタ注意!)

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2011 4/27

26世紀青年 [DVD]

 これも町山智浩のPodcastで知って、見たいと思っていたもの。

 原題”Idiocracy”。字面的には『愚民主主義』、内容も加味すると『バカ民主主義』ぐらいの意味合い。『20世紀少年』にあやかってるのは、おそらく日本配給時の苦肉の策で、まったく関係ない。

 軍の冷凍睡眠実験に参加したごく平均的な男が、トラブルで忘れ去られ、500年後に目覚める。500年の間にバカばかりが子作りに励んだのでアメリカはバカの国となり、ごく平均的だった主人公は今や世界一の天才となっていた……。

 というストーリー。アメリカ社会への風刺としちゃわりと秀逸。そこに興味がなく、単に何か面白い映画が見たいというだけの人には薦めない。終始下品ネタ満載注意。

参考リンク

おまけ

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2011 1/23

34丁目の奇跡 [DVD]

 町山智浩のポッドキャストで、『ニューヨーク東8番街の奇跡』と混同して見た気になっていたが未見であることに気づいて借りた。ちなみにリメイク前版は未見。

 同じクリスマステーマの『素晴らしき哉、人生!』の方はいま見ても超面白いけど、こちらはそこまでではなかったな。全体としてかなり出来はいいと思うが。

 「宗教国家アメリカ」の文脈に興味がある人は一応見て損はないと思う。

おまけ

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2009 10/11

名誉と暴力―アメリカ南部の文化と心理

 『みんなの進化論』で言及されていて面白そうだったので読んだ。以下は超要約。

 アメリカ南部の文化が、端的に言ってマッチョ的だというイメージは広く知られている。しかし、南部人は単に何に関しても暴力的というわけではない。自分自身や女性親族の「名誉」を守るという文脈で、特に暴力を許容する傾向がある。

 よく言われてきた「奴隷制のせいで良心が摩滅しちまったんだよ」という類の説明は、「社会制度が暴力肯定を助長することがある」という一般論として正しい部分はあるかもしれないが、南部の特殊性を説明しうるものではない。

 南部の「名誉の文化」の特殊性は、初期の移民達の牧畜生活の産物である。盗まれやすい家畜が主な財産であり、公権力に頼りにくい牧畜生活では、家畜や家族を守る暴力を持たないと見なされる、すなわち「なめられる」ことは、死活問題に繋がりやすいからである。

 かなり面白かった。実験やデータの説明もなかなか面白いのでぜひおすすめ。

参考リンク

おまけ

 牧畜と文化つながり(?)

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2009 9/5

アメリカのスポーツと人種

 に関連して、

 に追加しておいた方がよいと思う本を紹介しておく。

 白人と黒人両者が人種的運動能力に関する調査を恐れているのは、それが知力や情緒に関わるもっと内面的な人種的差異を示唆するからである。科学者と一般人のいずれも、人種的な身体構造や生理についての本音を隠し続けているので、両者の不安は解消することがない。こうした沈黙は、人種神話や似非科学をはびこらせ、黒人と白人両者の幻想願望を満たし続ける。ヒト生物学者が人種的差異に関する恐ろしい真実を隠しているという根強い暗黙の了解が存在し、それゆえ、近代科学が公式に反人種主義声明を発表しているにもかかわらず、人々は、科学が人類の多様性だけでなく同一性を証明するだろうとは信じようとしない。

 本文だけで400Pもある大著であり、そう気軽に読める本ではないが、順序としては『黒人アスリートはなぜ強いのか?―その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る』より先に読んでほしいかも。

おまけ

 それにしても単なる逆再生すら面白いと感じさせてしまうほどの驚異。

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