歴史

政治経済社会

横山茂雄『聖別された肉体―オカルト人種論とナチズム』

読んだのはだいぶ前だが『アイアン・スカイ』で思い出した。  内容は副題通りで、ここでは詳しくは説明しないけどかなりおすすめ。  あとがきの  本書の前提を成すのは、公認文化の背後に見え隠れする広義の意味でのオカルティズムの理解を欠いては、その文化の本質には到達できないという認識である。  という部分は深い。  自分の書いているガイア教シリーズにも通じるものがある。この本は直接には使用する予定はない...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ37 アーサー・O・ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

【第36回】 【目次】 【第38回】 存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2012年2月版

『虫を食べる文化誌』★  梅谷献二著。虫だー! 『ヒドラ――怪物?植物?動物!』★  山下桂司著。ヒドラだー! 『ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方』★★★★★  ブライアン・ヘイズ著。どこで知ったか忘れたけど、久々に素晴らしい数学エッセイ集。 『よりぬきあさりちゃん』★★★  室山まゆみ著。懐かしい。いま読んでも面白い。 『脳のなかの万華鏡---「共感覚」のめくるめく世界』★  リチャ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ36 大きな鍵

【第35回】 【目次】 【第37回】  ある現象を理解するということは、何が変化して何が不変であるかを、理解することだと言える。  何も変化がないのであれば、そもそも考えるべきことが存在しないであろうし、何もかもが変化してしまうなら、やはり考えるべきことが存在しないであろう。  たとえば物理学であれば、変化しない保存量が何かがわかれば、その保存則を用いて現象を理解したり予測したりすることができる。...
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またまた『表現の自由を脅すもの』より

なんだかそれっぽい話題が聞こえてきたので、久々にジョナサン・ローチ『表現の自由を脅すもの』から2ヶ所引用。 「我々は、批判や吟味、正しい憎悪や脅しを押し止めようと欲するものではない。」ところで何時も困ることといえば、ある人の憎悪に満ちた発言は、別の人の真摯な批判であるということである(「ホロコーストはイスラエルの捏造である」)。そうなると、誰が線を引くべきか。 「人を傷つける邪悪な意見が駆逐されれ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ35 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 8/8

【第34回】 【目次】 【第36回】  さて長かった*1『イルカと話す日』の本文も、ついに今回が最後である。名残を惜しむとともに、抜かりなくここまでのまとめと今後の展望についての準備を始めよう。 第一〇章 生態系の一員としての自覚を持った科学的観察者  これまで科学者といえば、実験を行ない、こうした実験から自分なりの推論を引き出し、学術論文を発表する者のことであった。(中略)科学者は、学術誌や学会...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ34 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 7/8

【第33回】 【目次】 【第35回】  前回から3年弱も間が開いてしまったが、何事もなかったように再開しよう。あと2回ほど『イルカと話す日』を続けたあと、リリー博士のまとめに入る。 第三章 クジラ類との異種間コミュニケーションに必要な諸科学  一九五五年から現在までのあいだに、異種間コミュニケーションを実現するためには、事実や理論を理解するためにさまざまな科学が必要だということが明らかになった。こ...
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磯田道史『武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新』

他人の家計簿なんてものは、なかなか見られるものではない。見られたらきっと面白いだろう。  昔の人の生活なんてものは、なかなか見られるものではない。見られたらきっと面白いだろう。  では、昔の人の家計簿が見られたらどうだろう? もちろん、めちゃくちゃ面白い。超オススメ。  内容そのものは本を読んでもらうとして、あとがきから教訓的な部分を二箇所メモしておきたい。 「歴史とは過去と現在のキャッチボールで...