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おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2023年4月版

『ダチョウはアホだが役に立つ』★★  塚本康浩著。最初タイトルを見たときは、いつかのマンボウ最弱伝説みたいなネット発のネタかと思ったが真面目にも科学的にも面白い。 『ウクライナ戦争』★★  小泉悠著。時事。 『「社会正義」はいつも正しい: 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』★★★★★  原題"Critial Cynical Theories How Activist Sch...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ49 アーサー・C・クラーク『海底牧場』 4/5

【第48回】 【目次】  さて前回、何を考えてこんな読解問題に答えてもらったか。まあ、とりあえず答え合わせから。 答え合わせ 1:× 人間以外の動物は人間のために存在している 「有史以来、人間は、ほかの動物は自分たちのために存在しているのだ、という考えをいだいてきました。」と言って、以下ずっとそういう聖書的動物観を批判しているので、当然×だな。 2:○ 牛・羊・豚等の家畜を殺すこともいずれは止める...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2020年2月版

『すばらしい新世界』★★★  オルダス・ハクスリー著。『1984年』と並び称されるディストピアものだけど、そちらほど読んでる人いない印象ある。確かに今読んでも面白いのは『1984年』の方。こちらは、生まれつきの階級固定を除けば普通の現代社会じゃん、という印象になってしまうから、そのせいかも。 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』★  ターリ・シャーロット著。特に目新しい話...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2019年7月版

『ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在』★  山内一也著。面白い。 『ファンタジーランド: 狂気と幻想のアメリカ500年史』★  カート・アンダーセン著。ちょっと散漫な気もするけど。なぜか『宗教から読むアメリカ』を思い出した。 『おもしろレオロジー ―どろどろ、ぐにゃぐにゃ物質の科学』★  増渕雄一著。何で知ったか忘れたが、意外に面白かった。 『西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ48 アーサー・C・クラーク『海底牧場』 3/5

【第47回】 【目次】 【第49回】 現代文の問題  『海底牧場』最終回のつもりだったが、ひとつ試してみたいことができたので、一回分増やしてワンクッション置く。  以下は、第46回で取り上げた視察の帰りの飛行機内での、主人公フランクリンとマハ・テーロとの議論である。シリーズの観点から見て、この作品で一番興味深い部分と言える。  これを読んで、次の問題に答えてもらいたい。決して引っかけ問題とか、ひね...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ46 アーサー・C・クラーク『海底牧場』 2/5

【第45回】 【目次】 【第47回】 仏教と菜食主義  仏教の原則の一つに(中略)森羅万象に慈悲をたれよ、というのがある。これを忠実に守った仏徒はほとんどいない、有名無実の掟だ。彼らは、他人の殺した四つ足の肉を食べれば同じことだと、詭弁を弄して従わないのだ。しかし、近年、この戒律を強化しようとする試みがしばしば行われ、偏狭な菜食主義者と肉食主義者との間で、論争が絶えなかった。これらの議論の余波が、...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ44 アーサー・C・クラーク『海底牧場』 1/5

【第43回】 【目次】 【第45回】  今回取り上げるのは、前回のハインラインに続いて海外SF御三家*1、正真正銘のSF作家、アーサー・C・クラークの『海底牧場』(1957)である。  前回の『異星の客』よりも4年前だが、まあ細かいことは気にするな。今は、最低でも10年単位で考えるような時代精神の話をしているのだから、それぐらいは誤差だ。  短めで適度なスペクタクルがあり、ある意味王道ビルドゥング...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ43 ロバート・A・ハインライン『異星の客』 2/2

【第42回】 【目次】 【第44回】  しかし、同じものを仮託されていても、『失われた地平線』に比べて、マイクがコンウェイやシャングリラのラマ僧と比べて、大きく変わった部分もある。  すでに公民権運動の時代でもあり、マイクが「白人」である*1ということをいったん置けば*2あからさまな白人優越の意識は、もはや見られない*3。  キリスト教より異教が優れているのではないかという意識は、その場だけの単な...