科学技術哲学 サイモン・シン『代替医療のトリック』 うちではお馴染みのサイモン・シン4作目。テーマはもちろん代替医療。 第1章 いかにして真実を突き止めるか 第2章 鍼の真実 第3章 ホメオパシーの真実 第4章 カイロプラクティックの真実 第5章 ハーブ療法の真実 第6章 真実は重要か? 原題"Trick or Treatment"は、直訳すれば『詐術か治療か?』だが、ハロウィンの「トリック・オア・トリート(Trick or treat. お菓子... 2010.4.25 科学技術哲学
科学技術哲学 ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』 藤原辰史『ナチス・ドイツの有機農業―「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』 ボリア・サックス 『ナチスと動物―ペット・スケープゴート・ホロコースト』 と合わせて“いまここにいるナチス”三部作と私が勝手に命名しておすすめしている本の中の一冊。全体の趣旨がよくわかるように序文から抜粋。 本書はファシズムについての本である。と同時に、科学についての本でもある。おそらく我々はどちらに関してもかなりの... 2010.4.6 科学技術哲学
科学技術哲学 鹿野司『サはサイエンスのサ』 サはサイエンスのサ:ハヤカワ・オンライン(目次) サはサイエンスのサ くねくね科学探検日記(公式) 巡回先にも入っている『くねくね科学探検日記』の鹿野司によるサイエンスエッセイ集。 語り口は実にくだけた感じで、ネットスラングやマンガネタも入るし、イラストもとり・みきで軽妙な感じだけど、内容そのものは極めて正統派。上のリンクから目次を見てもらえば雰囲気は掴めるだろう。 話題の幅が広いわりに奥も... 2010.3.27 科学技術哲学
科学技術哲学 レオナルド・サスキンド『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』 スーパーロボット大戦とか宇宙戦艦ヤマトとか、そっち方面を連想しそうなタイトルだが、真面目な話。著者は『宇宙のランドスケープ』と同じレオナルド・サスキンド。 これらの単位(プランクの長さ、時間、質量)には驚くべき意味がある。それらは、存在可能ないちばん小さいブラックホールのサイズ、半減期、質量なのだ。 という記述を読んで何か反応する人には是非おすすめ。スティーヴン・ホーキングとの論争の意味だけで... 2010.3.24 科学技術哲学
科学技術哲学 「メタプラセボ効果」は当然あると思う 忘却からの帰還: メモ「メタプラセボ仮説」 メタプラセボ仮説という単語自体は初めて聞いたが、私はこの効果は当然あると思う。 まず、メタプラセボもプラセボも何も関係なしに、そもそも「傷や病気が治るのはなぜか?」ということから考えよう。 傷や病気はホイミやケアルの魔法で治るのではない。「自然」に治るのでもない。意識的にする必要はないが、自分の身体の各細胞が必死に働いて治すのだ。そして、必死に働く... 2010.3.1 科学技術哲学
科学技術哲学 苦痛の存在意義 「The Greatest Show on Earth」 その22 - shorebird 進化心理学中心の書評など 「The Greatest Show on Earth」 その23 - shorebird 進化心理学中心の書評など shorebird氏の『進化の存在証明』*1についての記事を読んでいて思い出した。 以前 苦悩、あるいは私たちがそう呼ぶところの脳神経の働きなどはパンダの親指... 2010.2.13 科学技術哲学
科学技術哲学 スタンレー・ミルグラム『服従の心理』 よく教科書にも載ってる有名なミルグラム実験の本。スタンレー・ミルグラムはスモール・ワールドの概念の先駆者としても有名。 一応、旧版で読んだような記憶はあるが、 「服従の心理」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる で、山形浩生氏の批判というのに興味を持った。 確かに、山形氏の批判は、どれもいいところを突いていると思う。この実験の今日的な解釈として同意できる部分が多い。... 2010.1.26 科学技術哲学
科学技術哲学 ベルンド・ハインリッチ『人はなぜ走るのか』 当たり前だと思うかもしれないが、人間はマラソンができる。誰でもというわけではないにしても、鍛えれば42.195キロ以上走ることができる。 そんなことができる類人猿は、人間以外にはいない。人間は投擲力に優れているという話は前にもあったたが、持久走力も大変優れているのだ。 ところが「人間は精神的に優れた動物であり、代わりに肉体は貧弱で非効率的である」という根拠のない伝統的偏見が根強く、なかなかその... 2010.1.11 科学技術哲学