政治経済社会

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話せばわかる

「お互い人間なんだから、話せばわかる」  という考え方がある。  一見、文句のつけようのない立派な考え方に見えるが、大きな問題がある。  なぜか? 対偶を取ってみればわかる。 「話してもわからない(≒自分に同意しない)やつは人間ではない」  と言っているのと同じである。  「話せばわかる」という信念は、自分が間違っている可能性を常に真剣に考える態度とセットでなければ危険である。 おまけ  13日の...
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「長期的には我々は皆シンデレラ」

という言葉を考えたのだが、何一つ反応なくて寂しい。  最小限の音韻的変更で、意味がほぼ正反対の方向に*1通る、我ながらなかなかよい言葉遊びだと思うのだが。  特に、ビジネス系・経済系のブログタイトルなどにぴったりだと思うのだけど、自分では使わないし、誰かいりませんか。 *1:元々の言葉も、本来の文脈では特に悲観的なものではなく、むしろ悲観論を茶化すジョークだったようだが。 おまけ  言葉遊びつなが...
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ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』

我々が恐れなければならない唯一のものは、恐怖そのものである。 (フランクリン・ルーズベルト)  ルーズベルト大統領はともかく、この言葉は好きだったのに、しばらく積んでたのを後悔。これは素晴らしい。超いい。 『詐欺とペテンの大百科』 『表現の自由を脅すもの』  と並んで、一家に一冊配布を義務づけたいレベル。 進化心理学本 メディアリテラシー本 科学リテラシー本 社会問題リテラシー本  いずれの視点か...
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マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』

原題 "Justice - What's the Right Thing to do?"(『正義――何が正しいことなのか?』)NHKでハーバード白熱教室として放送されているらしい講義の書籍化。  歴史を足早におさらいする感じや、日本での流行り方からは、正義論に集中した『ソフィーの世界』、といった印象を受ける。  確かに流行るだけあって、大変よくまとまっていると思う。この分野の入門書としては最高だ。...
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「無責任な純粋さ」

『健康帝国ナチス』に出てくる言葉。ヘルベルト・メルテンがどういう人かも、どういう文脈で言ったのかも知らないのだが、なかなかうまい言葉だと思う。ちょっと前に読んだ『平気でうそをつく人たち』とも共通する話。  要は「悪」と一口に言ってもいろいろあって、なにも北斗の拳のモヒカンがやるようなヒャッハー的わかりやすい悪ばかりではなく、もっと微妙・巧妙でしかもありふれた悪があるということ。  『平気でうそをつ...
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不動産投資について調べてみた

引っ越してすぐの頃、家賃の払い込みをする時に、このようなことを考えた。 「オーナーは契約書に名前が載ってるだけでこの家賃を受け取ってるわけだ。これは払う側ではなくもらう側にならなくてはいかんのではないか?」  そこでマンション・アパート経営について一通り調べて、実際にそういう不動産屋にも足を運んで話を聞いてみたりした。すると、よくあることだが、調べるほどそんなにうまい話はないことが明らかになってい...
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山形浩生『要するに』

山形浩生のエッセイ集。話題自体はやや古くなりかけているが、内容は別に古びてはいない。  今回「おっ?」と思ったのはここ。  さて、たぶん実際の世の中の制度設計というのも、このゲームの「おもしろさ」を考えるのと同じことだろう。ゲームも、まったくの自由放任では成立しない。なんらかの制度(つまりルール)があって初めて成立する。でもがちがちに規制しまくっては、ゲームが硬直する。(中略)万人による、さまざま...
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スディール・ヴェンカテッシュ『ヤバい社会学 一日だけのギャング・リーダー』

『ヤバい経済学』の一部の元ネタになったギャング研究の回顧録みたいなもの。『ヤバい経済学』とは全然趣が違うので同じようなものを期待するべきではない。  内容そのものも興味深く、いろんな読み方ができる作品だが、すでに方々で書かれているので他に譲る。  私が惹かれるのは、shorebirdさんが言及している どこかで終わってしまうことがわかっている物語が醸し出す不思議な雰囲気 (書評 「ヤバい社会学」 ...