科学

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ42 ロバート・A・ハインライン『異星の客』 1/2

【第41回】 【目次】 【第43回】  また1年以上間が開いてしまった。このまま年に1回のようなペースだと、100歳まで長生きしても未完に終わってしまいそうなので、なんとしてでもペースを上げようと考えている。  今回取り上げるのは、今度こそ、押しも押されもせぬSF作家の正真正銘SF小説、ロバート・A・ハインライン『異星の客』(1961)である。  前回同様、いま読んで面白い小説だとは言いがたいので...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年6月版

『Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語』★★★  石川洋資著、西山勇世著。自分で使うあては当面ないが。Scalaで見覚えある機能が多く、普通にアプリ作るのにこれ使えるなら、いいなあ、という印象。 『自己変革するDNA』★★★  太田邦史著。ビジネス系自己啓発本と間違われそうなタイトルだが、これは文字通りに生物のDNAの本。結構面白い。 『イノベーションはなぜ途絶えたか ─...
科学技術哲学

わいせつとは性が年配の男性にとって適切に管理されていない状態

歴史上「わいせつ」の要件を具体的に示しえたためしがない、というのはよく言われることで、それはそれで正しいと思われる。  だが進化心理学的視点に立てば「わいせつ」を過不足なく単純に定義することは容易だ。 性が社会≒権力≒年配の男性(の同盟)にとって適切に管理されていない状態  だ。そもそも具体的にどんな行為や表現であるかは問題ではないのだ。たとえば、 一夫一婦制は社会的にひとつの安定解だから、夫婦間...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年2月版

『ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた』★  ランドール・ マンロー著。非常に簡単な単語だけで難しいことを説明する。この人らしい皮肉も効いてる。あと、とてもでかい(物理的に)。 『ベルサイユのばら』★★★  池田理代子著。妻経由。実は初めてちゃんと読んだ。歴史に残るだけのことはある。 『分断されるアメリカ』★★★  サミュエル・ハンチントン著。竹中正治氏のfacebook...
科学技術哲学

マーティン・J・ブレイザー『失われてゆく、我々の内なる細菌』

失われてゆく、我々の内なる細菌:みすず書房 失われてゆく、我々の内なる細菌 - 楽園はこちら側  久々に単独エントリでおすすめしたくなった本。個別には、どれもすでに聞いたこともあるような話ではある。しかし、全部まとめて一貫して説明されると、わずかなりとも世界観を揺るがされるような話でもある。  アレルギーの衛生仮説はなんとなく外部の細菌・寄生虫ばかりに目が行っていたが、常在菌に関するものである可能...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2016年10月版

『ダンジョン飯』★★★  九井諒子著。3巻。まだまだ面白い。 『ナナのリテラシー』★  鈴木みそ著。Kindle Unlimitedで鈴木みそのがいっぱいあったのでいくつか読んだが、薦められるのはこれだけかな。時事的なのですでにちょっと話題は古いが。ガチャ関係でたまに見る「脳内麻薬で留めることが大事だ」のページの元ネタってこれだったのね。 『カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する 』★★★...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2016年8月版

『ゲノム革命―ヒト起源の真実―』★★  ユージン・E・ハリス著。地味ながらよい。 『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』★★★  永田カビ著。pixivで知った。レズ風俗は話の枕でメンヘルに関する自伝エッセイ。絵も文もうまくて意外な面白さ。 『メンタルが強い人がやめた13の習慣』★★  エイミー・モーリン著。ありがちだけどいいまとめ。 『ヤバすぎる経済学』★★★  スティーヴン・D・レヴィット著...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ41 ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』

【第40回】 【目次】 【第42回】  あのハンターハンターさえ連載再開するぐらいだから自分も頑張ろうと思ってこのエントリを書き始めたら、書き上がるまでに再び休載してしもた(笑)。まあ仕方ない。始めよう。  今回取り上げる作品、記念すべき後半戦最初の作品は、ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』(1933)である。  未来・SFの世界にご案内しようとか言っておいて*1いきなり普通はSFに分類される...