アニメコミック デビルマン・寄生獣・ネウロに共通する進化論へのまともな理解 後編 (前回の続き) で、最後にネウロだ。 最近出てきた新しいボスキャラ「シックス」の設定は、一見『オレが進化の頂点を極めた究極生物なのだッ!』的ないい加減な理解の代表に見える。 しかし、実は定向進化を実体のあるものであるかのような言い方をしていることを除けば、原理的におかしいところは何もなかったりする。 こんなまっとうな方法で進化した少年漫画のボスキャラというのは前代未聞ではないかと思われる。 もちろ... 2007.9.26 アニメコミック
アニメコミック デビルマン・寄生獣・ネウロに共通する進化論へのまともな理解 中編 (前回の続き) 『寄生獣』はこのような文章から始まる。地球上の誰かがふと思った『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』地球上の誰かがふと思った『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるだろうか……』誰かが ふと思った『生物(みんな)の未来を守らねば…………………………』 これはガイア理論のかなりトンデモ寄りな解釈――地球には超科学的な生命調整機能... 2007.9.23 アニメコミック
アニメコミック デビルマン・寄生獣・ネウロに共通する進化論へのまともな理解 前編 現在少年ジャンプでほぼ唯一と言っていいぐらい着目している『魔人探偵脳噛ネウロ』であるが、最近の展開は単に面白いというのとは違う意味でちょっと興味がある。私が以前から持っている作業仮説を検証できる機会だからだ。それは、進化についてのまともな理解にヒントを得ているマンガは奇跡的な傑作になる可能性が高い というものである。少年漫画で進化について触れられる場合『オレが進化の頂点を極めた究極生物なのだッ!』... 2007.9.21 アニメコミック
科学技術哲学 スティーブン・ジェイ・グールドのエッセイ中で一番好きな部分 紙を整理していたら昔メモったものが出てきた。 収録の本がどれだったか思い出せないがジョー・ディマジオの連続安打の話の最後の部分であるのはほぼ間違いない。 何かで言及する機会がありそうだからここに書き写しておこう。 ある生物種の歴史や、混沌とした世界で途切れずに続いてゆくことが必要なあらゆる自然の現象は安打の連続記録のように進んでいる。全ては限られた賭金で無限の資産を持つ親に立ち向かうギャンブラーの... 2007.9.18 科学技術哲学
科学技術哲学 リチャード・ドーキンス『祖先の物語~ドーキンスの生命史~』 こ・れ・は、素晴らしい! 殿堂入りクラス。 内容については訳者あとがきの記述が十全なのでその引用に留めるが、グールドを精神上の師の一人に数える私には特別な感慨がある。 とにかくこれは超オススメ。 本書は、進化生態学の巨匠ジョン・メイナード・スミスに献じられているが、ある意味で、「宿敵」スティーヴン・ジェイ・グールドに捧げられた本とも言える。『社会生物学論争史』の中でセーゲルストローレは、ドーキンス... 2007.8.26 科学技術哲学
科学技術哲学 ショーン・B・キャロル『シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』 突然だが、この世で最も驚異的な自然現象はなんだろう? 虹? オーロラ? 台風? 噴火? 津波? 超新星爆発? 大きい方はそんなところかもしれないが、小さい方に目を向けると胚発生が有力な候補に入ってくると思う。驚異と感じないとすれば、それは毎日その結果を見すぎて慣れてしまっているからだろう。 最近になって急速に進歩した発生生物学についての本。面白かった。以下は前書きからの抜粋。 ノーベル物理学賞受賞... 2007.8.23 科学技術哲学
科学技術哲学 ドナ・ハート ロバート W.サスマン『ヒトは食べられて進化した』 ヌーやインパラのような動物がライオンやハイエナに捕まってもりもり食われている。テレビの自然番組でお馴染みの光景である。 では霊長類――いわゆる猿――がヒョウやトラに捕まってもりもり食われている場面を見たことがあるだろうか? 私は昔この手の番組を平均よりかなり頻繁に見ていたと思うが、そんな場面は全く見たことがないと断言できる。 これは何らかの真実の反映なのだろうか? つまり猿は賢くて強いから他の動物... 2007.7.11 科学技術哲学
科学技術哲学 アンドリュー・パーカー『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』 これも読もう読もうと思って後回しになっていた。いわゆるカンブリア大爆発についての本。 カンブリア大爆発についてはとにかく『ワンダフル・ライフ』が有名だが、この本でのグールドは、人間の進化が偶然の結果であるという意見――それは正しいと思うが――を強調するあまり、バージェス動物の異質性・多様性を過大に強調してしまった面があり、カンブリア大爆発などと言うのはただの誇張で実際は何も特別なことなど起きてはい... 2007.5.2 科学技術哲学