SF

科学技術哲学

ポール・デイヴィス『幸運な宇宙』

原題"THE GOLDILOCKS ENIGMA Why is the Universe Just Right for Life?"(『ゴルディロックスの謎 なぜ宇宙は生命にちょうどよいのか?』)。 ゴルディロックスとは童話3びきのくまの主人公の女の子のことで「特別にあつらえたわけではないはずなのになぜかちょうどよい」ことを表す。 テーマは『宇宙のランドスケープ』の時にやや詳しく取り上げたので繰り...
文化芸術宗教

山本弘『神は沈黙せず』

と学会の本は何冊か読んだことがあるが、山本弘の小説を読むのは実は初めてだったりする。 いかにもと学会っぽい蘊蓄が存分に活用されていて、面白いか面白くないかと言えば十分面白いけど、どうしても引っかかるものがある。なぜだろう。 おそらく作者が、主人公たちよりも悪役の加古沢の方に肩入れして自己同一視している――単に作品内のどのキャラも作者の分身のひとつだからというレベルの話ではなく――からだろうと思う。...
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『TAP』

久々にグレッグ・イーガンの短編集。やっぱり現代最高のSF作家と言われるだけのことはある。『TAP』『銀炎』『ユージーン』の3作は思想といい知識といいネタといい、この人らしさがよく出ていて私は好きだな。おすすめ。『新・口笛テスト』 一度聞いたら絶対忘れない曲を計算で編み出す方法が発明された。星新一を連想させるコマーシャルネタ。まあまあ面白い。『視覚』 撃たれた後遺症で常に主観的に幽体離脱状態になって...
科学技術哲学

ブラッドリー・C.エドワーズ フィリップ・レーガン『宇宙旅行はエレベーターで』

軌道エレベータにはSF等ですでにお馴染みの存在だとは思うが、最近まであくまで空想の存在であり実現可能だとは思われていなかった。このために使えるほど軽くて張力に耐える物質など存在しうると思えなかったためだ。 全てを変えたのがカーボンナノチューブ。ただでさえ限りなく魅力的な新素材だが、なんと軌道エレベータのケーブル素材としての任に耐えそうなのだ。そして、それ以外に軌道エレベータのために必要な技術は、む...
映画・ザ・ムービー

アナクロニズムの極致『地球が静止する日』 オススメ度 1/10

わははは! 予告編を見てこれはダメ映画だと確信していたが、ある事情でダメなのを期待して観に行った。そして期待以上にダメダメで嬉しかった! つまんなくて嬉しかった映画は生まれて初めてかもしれない。人には全くすすめられないのでネタバレは気にせず行きますよ。(ネタバレ注意!) リメイク元の『地球の静止する日』は古典的名作SFである。友好的異星人像を初めて真面目に描いたと言ってよい先駆的な作品だった。原作...
映画・ザ・ムービー

『イーグル・アイ』 オススメ度 4/10

404 Blog Not Found:ハリウッド版「声の網」- 映画評 - Eagle Eye を読んで「全然観る予定はなかったが、声の網と聞いちゃ黙っちゃいられねえ!」と一応観てきたのだが、印象薄かったので今まで感想書いてなかった、という顛末。 まあ、そのぐらいのものですし、おそらく上映終わっちゃってますし、DVDで出てもおすすめ度は「退屈はしないでしょう」程度です。要するに、ありがちです。おま...
アニメコミック

山田芳裕『度胸星』

黒人大統領のエントリでtikaranoさんに教えていただいた。山田芳裕は最近『へうげもの』がかなり好みなので期待はしていたが、さらに想像を遙かに超えて面白かった。漫画に関してはそれなりにアンテナを張っているつもりだったのに、これを今まで読んでなかったとは大不覚。 かなり徹底した取材に基づいたと思われるリアリティのある部分と、漫画らしい極端な誇張の部分の配分が絶妙。そこはへうげものにも通じる。打ち切...
映画・ザ・ムービー

『プレステージ』オススメ度 5/10

ダークナイトやリベリオンつながりで、クリスチャン・ベールが好きなのと、荒木飛呂彦がイラスト描いたとかいう話をどこかで聞いたので観た。 一般的に言って名作とは言いがたいが、最初からマンガだと思えば、たとえば荒木飛呂彦が描いた漫画の映画化だと思いこんで観れば、そこそこのものだった。 つまり、これはぶっ飛んだ登場人物達の狂気とドラマ、次から次へと出てくるバカな! と突っ込みたくなるようなどんでん返しを堪...