良いトンデモと悪いトンデモは紙一重

虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか

 細胞内共生説で有名なリン・マーギュリスが911陰謀論系のトンデモさんになっちゃったという話。

 幻滅したとかガッカリしたとかいう感想が聞かれるが、私は前からそういう素養はあると思っていたので、さもありなんという感想だった。

 というのも私は、この人が左翼系のトンデモとは極めて親和性の高いガイア理論のシンパであると前から知っていたからだ。

 上のようにこのブログでも何度か触れてはいるが、「ガイア理論」は典型的なトンデモ系地雷ワードであると憶えておいた方がいい。少なくともギャグか批判的な文脈かRPGの中以外で出てきた時は。

 でも、ただ幻滅した幻滅したと言っててもしょうがない。もちろん幻滅するのは当然で、幻滅すべきなんだけど、今回強調しておきたいのは、一言で言えば天才とキチ○イは紙一重だってこと。紙一重どころか、同じ紙の裏表だと言った方がいいかもしれない。

 リン・マーギュリスがトンデモさんになってしまったとしても、細胞内共生説は依然として正しい。

 同じ人間が、正しいことと間違ったことを同時にしかも強烈に信じることはよくある。しかもその両方を言い出した動機が全く同じ信念に基づくなんてことさえある。

 この場合はまさにそういう例。ドーキンスの本『虹の解体』の第9章「利己的な協力者」にやや詳しいからそちらを読んでもらいたいけど、明らかにマーギュリスのガイア理論へのシンパシーと細胞内共生説への思い入れは、全体の調和とか協力とかいったものへの傾倒とでも言うべき同じ信念に基づいている。

 一方はただのトンデモに、一方は全ての真核生物の由来に関係する深遠な真理に繋がったけど、そこに至った信念は一つで互いに分離不可能だ。

 別の事例で言えば、トーマス・ゴールドなんかもそう。石油の無機起源説に至ったきっかけはかなりトンデモ的な動機で、無機起源説自体は大枠としてはトンデモのままで終わる可能性も高そうに思えるけれども、結果として地底生物圏の研究が進み、最初の生命が生まれたのは深い地下の岩の中だったかもしれないというのはかなり有力な説になりつつある。

 結局何が言いたいかというと、マーギュリスは確かにトンデモさんになっちゃったし、ひょっとしたらボケちゃったのかもしれないとしても、依然として愛すべきおばあちゃんなのであり、もうちょっと生暖かい目で見つめてあげましょうやということ。

おまけ

 深海萌え。

コメント

  1. 木戸孝紀 より:

    >「デビルマン」を読んでいたら「罪と罰」
    そらきっついな(笑)。

  2. より:

    悪口と取られるかもしれないので、一応伏字にしてみました。
    その作家さんで合ってます。
    この作家さん、現代を舞台にしたバイオレンスな伝奇小説を書いていたんですが、途中で「神」に目覚めて、その事をあとがきで熱く語ってました。
    無頼派だった主人公が微妙に大人しくなっていたような記憶もあります。
    例えるなら「デビルマン」を読んでいたら「罪と罰」になっていたような感じでしょうか。w

  3. 木戸孝紀 より:

    >天さん
    う?ん、平井和正?(なにゆえ伏せ字?)
    全然わかんないです。どういう意味での突き抜けっぷりですか。

  4. より:

    小説家なんかだと、その突き抜けっぷりも味になるんですが、学者だと「同じ紙の裏表」のギャップが大きくてショックも大きいようですね。
    某平○和正という作家のあとがきの突き抜けっぷりは凄かったです。(笑)

タイトルとURLをコピーしました