2017 6/25

『Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語』★★★

 石川洋資著、西山勇世著。自分で使うあては当面ないが。Scalaで見覚えある機能が多く、普通にアプリ作るのにこれ使えるなら、いいなあ、という印象。

『自己変革するDNA』★★★

 太田邦史著。ビジネス系自己啓発本と間違われそうなタイトルだが、これは文字通りに生物のDNAの本。結構面白い。

『イノベーションはなぜ途絶えたか ──科学立国日本の危機』★

 山口栄一著。

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』★★★★

 マシュー・サイド著。今や見慣れた内容な気もするが、啓蒙書としてまとまり良い。

『ソシオパスの告白』★★★

 M・E・トーマス著。自らソシオパス(サイコパス)を名乗る人の本。この本自体に演技が入っていることは確実であろうことから、引いて読む必要はあるかも知れないが、面白かった。

『戦争にチャンスを与えよ』★★

 エドワード・ルトワック著。放言オヤジの無茶苦茶と言えばそれまでなのだが、ただの無茶苦茶ではなく、真理の一面に考えを向けさせる、価値ある無茶苦茶ではあると思う。

『六三四の剣』★★★★★

 村上もとか著。古いのはどうしようもないけど、これはおもろいわ。

『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』★★★★★

 樺沢紫苑著。個別には知ってることばかりなのだが、著者のYoutube見て「こんな胡散臭いおっさんにできてることが私にできないなんて許せん!」と一念発起して、ついに朝型化に成功したので、悔しいけど星5つ。いわゆるゲーム脳の人に好意的な記述があるのは残念。

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2017 5/3

 歴史上「わいせつ」の要件を具体的に示しえたためしがない、というのはよく言われることで、それはそれで正しいと思われる。

 だが進化心理学的視点に立てば「わいせつ」を過不足なく単純に定義することは容易だ。

  • 性が社会≒権力≒年配の男性(の同盟)にとって適切に管理されていない状態

 だ。そもそも具体的にどんな行為や表現であるかは問題ではないのだ。たとえば、

  • 一夫一婦制は社会的にひとつの安定解だから、夫婦間の性は基本的にわいせつではない。
  • 男性の性は、おおっぴらにアピールされて比較されると、年配の男性が若い男に負けてしまうので、露骨な場合のみわいせつである。
  • 男女の利害は一致しづらいので、女性の主体的な性アピールは基本的に――自分ひとりに向けられる場合を除き――全てわいせつである。

 もし、ホモ・サピエンスの祖先が、強い一夫一婦傾向(わずかに一夫多妻)で、メスが群れを出てオス同盟(≒男系)で権力が受け継がれるタイプの類人猿でなかったら「わいせつ」の定義はどんなものになっていただろう?

 これをまともに想像するのは難しい。なぜならすでに現在の「男性」「女性」の心理は、人類の祖先がそのような類人猿だったことと不可分だからだ。

 しかし、進化的に形成された心理が変わらないまま、現在の社会環境が変わったらどうなるかは、考える意味がある。それが実際に起きたことだからだ。

 ここ100年やそこらで、これまでと比べて、社会が家父長制権力的でなくなってきて、同時に女性の政治力が上がってきた。

 男性が実際にやってきたように、女性が自分たちに都合よく「わいせつ」を定義するとしたら、一体どのようなものになるだろう。

 よく知られているように、進化視点で男性の利益を突き詰めると皇帝のハーレムになる。この世で性行為できる男性は自分ひとりでいい。

 男性の皇帝のハーレムにあたる、女性の進化的利益の究極形は、乙女ゲーによくあるように、金と権力のあるイケメンがみんな自分に求婚してくる状態だが、男性との重要な違いは、基本的・相対的に「量より質」になることだ。

 皇帝のハーレムは、どんな美女でもひとりではだめであり、多少それより劣った女性・並程度の女性であっても、追加されるのは普通歓迎である。

 しかし、女性にとっては、究極に金と権力のあるイケメンがひとりいるだけでも、別に構わない。それより劣った男性・並程度の男性が追加されるのは、あまり嬉しくないどころか、むしろ邪魔でさえある。

 女性の進化的利益を最大化するように進化によって形成された心理傾向を正当化するような道徳を、進化心理学を知らない状態で、女性が作るとしたら、どのようなものになるのか。

 自分が求婚を受け入れるような最高クラスの男以外からの性的アプローチはすべて「わいせつ」であると定義することになるはずだ。

 ……はずだというか、それはもう実際に起きたことで、こうした女性主体で定義された「わいせつ」は特に「セクハラ」と呼ばれている。*1進化心理学による、いわゆる後ろ向きの予言だ。

 だから「ただしイケメンに限る」的な皮肉は、確かに一面の真理をついていると思われる。

 「セクハラ」の具体的要件、いつどこで誰がやっても変わらないというような意味でのそれは、「わいせつ」の具体的要件と同様に、誰にも示しえないと思われる。特に誰がやるかが決定的に重要なのだ。

 ただしそれは、歴史的に年配の男性が自分たちの都合のいいように「わいせつ」を定義してきたのと、何も変わらない。

 「セクハラ」の定義の方が恣意的に見えるのは、男性の性は基本的・相対的に「質より量」で、相手の質が重要でない、ということの反映に過ぎない。

*1:もちろん現在の「セクハラ」は対女性限定の用語ではないが。

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2017 4/30

『マシュマロテスト』★★★★★

 ウォルター・ミシェル著。なんかもうよく知っているような気になっているマシュマロ・テストだが、改めてオリジナルに触れてみるととても面白い。

『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』★

 鳴沢真也著。ちょっと面白い。

『天と地の守り人 第2部 カンバル王国編』★★★★

 上橋菜穂子著。最終章中編? やはり面白い。

『量子コンピュータが人工知能を加速する』★

 西森秀稔著、大関真之著。内容は興味深いのだが、本としてはいまひとつ。

『ダメな統計学: 悲惨なほど完全なる手引書』★★

 アレックス・ラインハート著。元から興味がある人でないと読みにくいだろうけど。

『将軍と側用人の政治』★★★

 大石慎三郎著。意外なほど面白かった。

『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学』★★★★★

 トム・ヴァンダービルト著。これはすごい。単独で全く見たことも聞いたこともないという話は少ないけど。

『未来からのホットライン』★★★★

  J・P・ホーガン著。初めて読んだのは大昔。今ではシュタインズゲートの直接の元ネタとして有名か? 古いけど今でも十分面白い。未読だが星野之宣バージョンあるのか。

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2016 11/23

 というエントリを以前書いたが、最近もうひとつ別の要素も大きく関わっているのではないかと思うようになった。

 これはニセ科学に騙されているとか不安商法に踊らされているというよりも――その要素は実際あると思うが――ある種の呪術であり、自ら信じたいのではないかと。

 そのベースになる考え方はすでに一度書いている。

 子供の知的発育は非常に重大なことである。にも関わらず、現実的で有効な対処法は存在しない。存在しても、それをそうと確信することはできない。まじないが流行る絶好の問題だ。

 流行するまじないは、実行可能であり、適度なもっともらしさと困難さを備えていなければならない。

 実行は可能だ。大抵の家庭にはテレビがあり、当然ついていることもよくある。実行可能でも負担が大きすぎて生活に支障が出るようではだめだが、そんなことはない。テレビを消しても死なないし、真剣に困ることもまずない。

 逆にあまり簡単すぎるのも、ありがたみが無くなるので駄目だ。これもクリアする。テレビを見たがる子供をなだめたり、自分で相手をしたりするのも、「ちょっと頑張ったな」と思えるほどの負担ではある。

 ……完璧に当てはまっているように思える。

 子供の知能という重大な事柄が、遺伝のようなもう変えられない要因や、まだ誰も解明していない偶然の要因に左右されているというのは不安だ。だからそれを制御しうると、確実にプラスになることをしていると信じて安心したいのだ。たとえ根拠薄弱だと知っていても。

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2016 11/1

『母がしんどい』★★

 田房永子著。『キレる私をやめたい』がよかったので。そりゃこんな母だったらしんどいやろな。

『察しない男 説明しない女 男に通じる話し方 女に伝わる話し方』★

 五百田達成著。ありがちだけどわかりやすくていいのでは。内容には関係ないが五百田(いおた)という名字初めて聞いた。

『SOFT SKILLS』★★★★★

 個別には特別すごいと思った話はないが、全体として過去に類例のない感じの本でとても面白かった。プログラマには是非おすすめ。

『習慣の力』★★★★

 チャールズ・デュヒッグ著。『SOFT SKILLS』で紹介されていたので読んだ。終盤ちょっと話が広がりすぎる感あるけど、啓蒙書としても実用(自己啓発?)書としても、かなりいいと思う。

『ネオ寄生獣』★

 萩尾望都『由良の門を』以外はそこまでは印象に残らず。しかしそれだけでも価値あり。

『人はなぜ格闘に魅せられるのか――大学教師がリングに上がって考える』★★

 ジョナサン・ゴットシャル著。良い。内容は例によってshorebird先生にお任せ。

『物理学者はマルがお好き』★★★

 ローレンス・クラウス著。『宇宙が始まる前には何があったのか?』から著者つながりで。いい啓蒙書。

『行動経済学の逆襲』★★★

 リチャード・セイラー著。ナッジの人。行動経済学そのものの部分は既知だが、それ以外の自伝的部分が面白かった。

『蒼路の旅人』★★★★

 上橋菜穂子著。最終シリーズ開幕? って感じ。かなり面白い。

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2016 9/1

『東方外來韋編 Strange Creators of Outer World. 弐』★

 ZUN他著。東方雑誌2番目。まだ「お布施と思って」レベルか。

『ストーナー』★★★★★

 ジョン・ウィリアムズ著。確かに地味な小説のはずなのに、なんとも面白い。自分も所帯持ちとなったからか、うまくいってない家庭の描写とか、なんか鬼気迫る感じ。

『濃縮メロンコリニスタ』★

 ニャロメロン著。独特のギャグセンス。Kindle Unlimitedでも読める。

『星界の紋章』★★★

 森岡浩之著。名前だけ知ってた古典。1-3巻まで読む。別タイトルで続きがあるようだが、とりあえずここまでで一区切りらしい。いろいろ尖ってて古典になるだけのことはあると感じる。

『女帝』★★★★★

 倉科遼著、和気一作画。名前だけ聞いたことあったので、Kindleの90%OFFセールで期待せずに買った。一言で表せば「R-18の朝ドラ」。中だるみするところもないではないが、非常に面白かった。

『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』★★★

 田房永子著。『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』からの連想。結構面白い。他のも読んでみようか。

『幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』★★

 岸見一郎著、古賀史健著。前著が面白かったので。やはり自分には「自己欺瞞という非常に重要なテーマに関する、一昔前の惜しい解釈」と映る。自己啓発として有効かどうかは別問題として。

『国民クイズ』★★★★

 杉元伶一著、加藤伸吉著。大学生の頃読んだ覚えがある。Kindle Unlimitedで読み直した。もう時代も違うし難点は多いけど、一度は読んで損なしと思う。

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2016 8/1

『ゲノム革命―ヒト起源の真実―』★★

 ユージン・E・ハリス著。地味ながらよい。

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』★★★

 永田カビ著。pixivで知った。レズ風俗は話の枕でメンヘルに関する自伝エッセイ。絵も文もうまくて意外な面白さ。

『メンタルが強い人がやめた13の習慣』★★

 エイミー・モーリン著。ありがちだけどいいまとめ。

『ヤバすぎる経済学』★★★

 スティーヴン・D・レヴィット著、スティーヴン・J・ダブナー著。前著の続きではなく著者達のブログのまとめ。でも、その雑多さが面白い。

『日本会議の研究』★

 菅野完著。流行り物。

『世界史を変えた薬』★★

 佐藤健太郎著。個別にはほとんど知ってる話だったが、こういうの好き。

『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』★

 旦部幸博著。雑学。

『楽観主義者の未来予測: テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする』★

 ピーター・H. ディアマンディス著、スティーヴン・コトラー著。最近よくある感じではあるが。

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2015 7/26

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 岸見一郎著、古賀史健著。源流というだけあってなかなか面白い。ほとんどは単なる自己啓発の屁理屈のように見える反面、自己欺瞞の考察として先進的な部分もあるように見える。

(おすすめ本書評まとめ2014年11月版)

 以前このように評したことがあるが、これだけじゃ意味がわからないのでちょっとだけ追加しておく。

 アドラー心理学で一番問題なのは「個人をそれ以上分割できない存在であると考える」というところだろう。これは脳のモジュール性の観点からの自己欺瞞理解とは正反対だ。

 たとえば、引きこもりの「彼」は「本当」は引きこもりを止めたくないのだ、というようなことを言うわけだが、

  • 長期的利益を司る部分は、引きこもりを止めたいと思っている
  • 短期的利益を司る部分は、引きこもりを続けたいと思っている

 とすれば、これ以上の説明はない。このどちらかが「彼」の「本当」の意見だと考える必要はどこにもない。

 この引きこもりに「ダイエット中なのに夜中に起き出して冷蔵庫をあさる人」以上に、何か本質的に問題があるとかおかしいとか考える必要はない。

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