2013 12/6

(本文とは無関係)

 私が初めて指摘するわけではないだろうが、オスプレイって絶対名前が悪いと思う。男がふざけて遊んでるようにしか聞こえん。ピンポイントでイメージ最悪すぎる。

 カラテオドリの原理を習うと踊る空手家が思い浮かぶし、マイコプラズマと聞くと放電する舞妓さんが出てくるし、デデキント切断と聞くと出目金がちょん切れるような気がする。

 日本語を使っている以上、こうした直感的な連想を止めることは不可能だ。意識して心臓を止めることができないのと同じぐらいどうしようもない。

 これがたとえばレディサーブ(ReadyServe)――もちろんこの話のためだけに今でっち上げた名前だがそれほど現実離れはしてないと思う――とかいう機体名だったら絶対今のような奉られ方はしてなかったと思う。

 ちなみにオスプレイそのものや基地問題については独自の意見を持てるほど知らない。大体こちらの見解を信用している。

おまけ

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2013 11/5

ソウルダスト――〈意識〉という魅惑の幻想

 この本自体はいまいちだったのでおすすめ書評まとめにも取り上げなかったけど、読んでた時に思い出した話。

 哲学的ゾンビというものは、単によく考えていないから可能な気がするだけの幻想だという意見に、私は賛成する。

 この概念は、ITの用語でたとえるなら、

  • エクセルのソースコードを入力するとエクセルの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェア

 というのとよく似ている。

 この概念の巧妙なところは、一見可能そうに見えるということだ。

 そして、さらに巧妙なところは、実際にも可能だ(!)ということだ。このようなソフトウェアは実際に作れる。どうすればよいかわかるかな?

 ……そう、何を入力しようが(しまいが)単にエクセルの実行ファイルを吐き出すソフトウェアを作ればよいのだ! これは確かに問題の条件を完全に満たす。だが同時に、完全なインチキだ。

  • エクセルのソースコードを入力するとエクセルの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェア

 は作れるし、Windowsのソースコードを入力するとWindowsの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェアも作れる。Chrome(以下略)も作れるし、Mac OS(略)も作れるし、etc. etc.

 どこまでも続けていくと、どんな入力に対しても期待通りコンパイラのように反応するが、コンパイルはしていない「コンパイルしないコンパイラ」が一見可能であるかのように見えてくる。だがもちろん、完全な錯覚だ。

 この思考実験は実際には、「コンパイルしないコンパイラ」などというものは、コンパイルという複雑な過程についてよく考えていないから可能に思えるだけの幻想でしかないことを示している。

 コンパイラあるいは一般にコンピュータに関してならば、これが詭弁であることはすぐわかるのに、脳に関して同じことができないとすれば、それは単に脳に関する知識が未だ不完全で、細部までよく考えていないからだ。

 ダニエル・デネットが「聴衆の懐疑に応じてトリックを変える奇術師」というたとえを用いて言おうとしているのはこういうことだ。(と私は理解している。)

参考リンク

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2013 6/19

『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』★★

 イアン・エアーズ著。ちょっとサイトの宣伝ぽいが、なかなか面白い。

参考リンク

『コーディングを支える技術 ~成り立ちから学ぶプログラミング作法』★

 西尾泰和著。やや初心者向けだが、よい。

『ビル・ゲイツ未来を語る』★★★

 ビル・ゲイツ著。1995年、Windows95発売直後ぐらいに出された本。20年近く経った今だからこそ面白い部分もある。おすすめ。

『投資家が「お金」よりも大切にしていること』★★

 藤野英人著。アメリカのヒーローは金持ちの民間人で日本のヒーローは公務員だとか、なかなか面白い。清貧思想からの脱却は大事だと思う。

『スノーボール ウォーレン・バフェット伝』★★

 アリス・シュローダー著。単純に伝記として面白かった。投資の参考にはほぼならない。

『脳のなかの天使』★★★★

 V・S・ラマチャンドラン著。前著とかぶるところもあるが、素晴らしい。「人間はただの類人猿にすぎない」との言明は、世俗的ヒューマニズム版「原罪」なのではないか、という皮肉は印象に残る。

『自然界の秘められたデザイン 雪の結晶はなぜ六角形なのか?』★

 イアン・スチュアート著。ややまとまりに欠ける印象だが、類似の本を読んだことがないなら。

『プライド』★★★

 一条ゆかり著。妻の推薦。いかにもな少女漫画で面白い。

『バフェット投資の真髄』★

 ロバート・G・ハグストローム著。具体的に役に立つかどうかは微妙だが、良書。

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2012 11/10

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

 陰謀論(ウォッチ)業界でよく見る(?)悪の秘密結社の名前に三百人委員会というものがある。

 30人委員会や3000人委員会でなく、3万人委員会でも3億人委員会でもなく、あくまで300人委員会であり、300という数がロビン・ダンバーいうところのダンバー数の上限あたりにほぼ一致するのは興味深い。

 利害でまとまったひとつのグループとして、人間が自然に想像できる限界の数がちょうどそれぐらいであるということなのだろう。

おまけ

 友人の数が減りそう。

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2012 10/18

『右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化』★★★

 細将貴著。面白い。内容についてはshorebird先生にお任せ。

『進化――生命のたどる道』★★★

 カール・ジンマー著。これも。

『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』★★

 ショーン・エイカー著。一言で言えば「成功するから幸せではなく、幸せだから成功する」。個別の内容はすでにどこかで知ってたような気がするが、まとまりはいいんじゃないか。

『ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた』★★★★

 ジョン・グレイ著。思い当たること多し。

『狩りをするサル―肉食行動からヒト化を考える』★

 クレイグ・B. スタンフォード著。肉の分配という観点から狩りをするヒト説を再評価。

『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』★

 W・チャン・キム著、レネ・モボルニュ著。いまさらだけど読んでみた。シルク・ドゥ・ソレイユのすごさは認めるけど、じゃあ具体的にどう生かせばいいかというと思いつかん。

『若き数学者への手紙』★

 イアン・スチュアート著。著者の数学ネタ集に比べれば読んでて面白いわけではないけど。そもそも数学ってなんやねん的なことを考えている若い人におすすめ。

『意識は傍観者である: 脳の知られざる営み』★★★★★

 デイヴィッド・イーグルマン著。この話の本ではまとまり具合が過去最高。強くおすすめ。

『この世でいちばん大事な「カネ」の話』★★

 西原理恵子著。お金の話というよりは単にサイバラの自伝? 面白いことは間違いない。

『老化の進化論―― 小さなメトセラが寿命観を変える』★

 マイケル・R・ローズ著。内容は例によってshorebird先生にお任せ。直接関係ないがこの著者すごく性格悪そうな気がする。

おまけ

 ショーン・エイカー 「幸福と成功の意外な関係」

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2010 9/15

つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?

1章 脳の設計は欠陥だらけ?
2章 非効率な旧式の部品で作られた脳
3章 脳を創る
4章 感覚と感情
5章 記憶と学習
6章 愛とセックス
7章 睡眠と夢
8章 脳と宗教
9章 脳に知的な設計者はいない

 「進化上の制約」という観点から一本筋を通した脳本。

 最近流行なのか、よく似た感じの本もありそうだけど、初心者向けで、かつレベルも低くないので大変おすすめ。

 個人的に、1箇所だけ飛び抜けて印象に残ったのは、

  • 夢に怖いものが多い理由は、記憶を整理・統合するにあたって「この記憶を定着させよ」って信号を出す一番単純な方法が「怖がらせること」だからなんじゃね?

 という著者の仮説。かなりいいところをついていそうな気がする。というか、たぶんほぼ当たりじゃないか? 賭けられるもんなら幾らか賭けたい。

関連書籍

おまけ

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2010 7/17

人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線

 これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。

 本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。

 関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。

 つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。

関連書籍


おまけ

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2010 5/29

スウィート・ドリームズ (NTT出版ライブラリーレゾナント059)

 目下バカ検知ワードとして大活躍中の「クオリア」についての議論。

  • 分子やエネルギーについて何もわからなかった頃の「フロギストン」や「カロリック
  • DNAや酵素について何もわからなかった頃の「生気
  • 素粒子や時空について何もわからなかった頃の「エーテル

 などと同様に、まだ神経や脳について詳細がわからない時代であるが故に抱くことが可能であるだけのどうでもいい概念だというのが著者の立場。

 内容そのものは特に珍しいことはない。むしろ、それ以外の立場がこうしてまだ真面目な議論になるほど生き残っているのだということを奇妙に感じた。

 やはり現在は、脳が理性と神秘と境界線上に載っている過渡期なのだろう。

参考リンク

関連書籍

おまけ

 夢→『パプリカ』

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