科学技術哲学

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良いトンデモと悪いトンデモは紙一重

幻影随想: 陰謀論に堕ちた生化学者 細胞内共生説で有名なリン・マーギュリスが911陰謀論系のトンデモさんになっちゃったという話。 幻滅したとかガッカリしたとかいう感想が聞かれるが、私は前からそういう素養はあると思っていたので、さもありなんという感想だった。 というのも私は、この人が左翼系のトンデモとは極めて親和性の高いガイア理論のシンパであると前から知っていたからだ。デビルマン・寄生獣・ネウロに共...
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レオナルド・サスキンド『宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す』

『エレガントな宇宙』以来の超弦理論本。なかなかよかった。おすすめ。 生命はごく最近まで歴史上常に、あり得ない驚異であり究極の神秘と思われてきた。科学の進歩とともに今日では生命もその誕生も特に不思議とは思われなくなってしまったが、それでも驚異はステージを一つ繰り上がって保存されている。 「では、なぜそもそも宇宙の物理法則が生命という化学的特性をそれほど不思議ではなくするようなものになっているのか?」...
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スティーブン・ジェイ・グールドのエッセイ中で一番好きな部分

紙を整理していたら昔メモったものが出てきた。 収録の本がどれだったか思い出せないがジョー・ディマジオの連続安打の話の最後の部分であるのはほぼ間違いない。 何かで言及する機会がありそうだからここに書き写しておこう。 ある生物種の歴史や、混沌とした世界で途切れずに続いてゆくことが必要なあらゆる自然の現象は安打の連続記録のように進んでいる。全ては限られた賭金で無限の資産を持つ親に立ち向かうギャンブラーの...
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ピーター・フォーブズ『ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー』

そでの宣伝文より抜粋。 吸盤もないのに壁や天井に張りついて楽々と歩くヤモリ、泥の中でも汚れ知らずのハスの葉、色素もないのに鮮やかな青に輝くモルフォ蝶……これらの、生き物が発揮する「離れ業」はどういう仕組みなのかという謎が、ナノテクや超高解像度顕微鏡、遺伝子組み換えなどの最先端技術で解き明かされたとき、人はその巧みさに驚き、魅了された。しかし人はそこに留まらず、いつしかそれらの秘密を科学技術で再現し...
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リチャード・ドーキンス『祖先の物語~ドーキンスの生命史~』

こ・れ・は、素晴らしい! 殿堂入りクラス。 内容については訳者あとがきの記述が十全なのでその引用に留めるが、グールドを精神上の師の一人に数える私には特別な感慨がある。 とにかくこれは超オススメ。 本書は、進化生態学の巨匠ジョン・メイナード・スミスに献じられているが、ある意味で、「宿敵」スティーヴン・ジェイ・グールドに捧げられた本とも言える。『社会生物学論争史』の中でセーゲルストローレは、ドーキンス...
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ショーン・B・キャロル『シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』

突然だが、この世で最も驚異的な自然現象はなんだろう? 虹? オーロラ? 台風? 噴火? 津波? 超新星爆発? 大きい方はそんなところかもしれないが、小さい方に目を向けると胚発生が有力な候補に入ってくると思う。驚異と感じないとすれば、それは毎日その結果を見すぎて慣れてしまっているからだろう。 最近になって急速に進歩した発生生物学についての本。面白かった。以下は前書きからの抜粋。 ノーベル物理学賞受賞...
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充分に発達した科学技術が魔法と見分けが付かなくなることはもうない

星新一の『おみやげ』を枕にして言いたかったのは、歴史の変曲点の話の続きである。 一つ空想してみよう。この灰になってしまった「おみやげ」について私たちは何が言えるだろうか? 私は「簡単に宇宙を飛び回れるロケットの設計図」に何が書いてあったかは全く想像もつかない。そんなものが存在しえたかどうかも疑わしいと思われる。*1 ただし、想像もつかないとは言っても、少なくとも光速を越えることはできなかったであろ...
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コンラート・ローレンツとナチス・ドイツ

このエントリでローレンツの生きていた時代を適当に「この時代」と書いたが、「この時代」とは思いっきり大雑把に言えばナチスの時代でもある。 我々が今日持っている人類文化、芸術、科学および技術の成果はほとんど専らアーリア人種が創造したものである。アーリア人種は人類のプロメテウスであって、その輝く額からいかなる時代にも常に天才の精神的な火花が飛び出し、神秘の夜を明るくし、人類をこの地上の生物の支配者とする...