科学

おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2012年11月版

『北朝鮮「偉大な愛」の幻』★★★★  ブラッドレー・マーティン著。山形浩生経由で知る。確かに長いがおもしれー。 『2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する』★  英『エコノミスト』編集部著。「日本以上の高齢化に見舞われるはずの国々に対して甘く日本に厳しすぎ」という意見があり、一理あると思うが、それは単に、日本が現在まだそれなり存在感があり目立っているというだけのことではないかな。 『資本主...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ38 キリスト教徒よりもキリスト教的なガイア教徒

【第37回】 【目次】 【第39回】  さあ、 ユリカさんとビクター・ケラハーを分けているのは何という文化のどんな違いか?  という第13回の問い*1に答えられる時がついに来た。 宗教文化が*2唯一神教的か否かの違いだ。  第2回の段階では「ひどいこじつけだな」ぐらいにしか思わず、第12回でも信念がぐらついて不安を感じた程度の人でも、ここまで来たら、もうこの回答を拒否することは難しかろう。  野崎...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ37 アーサー・O・ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

【第36回】 【目次】 【第38回】 存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分...
科学技術哲学

ジェフリー・F・ミラー『恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化』

以前詳細に紹介すると言った*1ものの、どれだけ先になるかわからないし、重要な部分が多すぎてほとんどそのまんまにならざるを得ないので、考えを変えて先におすすめだけしておくことにした。  要点は、人間特有の高度な知性・言語・芸術・道徳などは、クジャクにとっての尾羽のように、性淘汰における適応指標形質として進化したということだ。私は、この見方は基本的に正しいと考える。  20世紀第4四半期で最も重要な進...
科学技術哲学

「魂」は実在するか? という問いは「重心」は実在するか? という問いに似ている

いつかまとめてそれなりの長さで書こうと思っていた話だが、この本にまったく同じ表現が出てきたので、もう出してしまおう。 「重心」は実在するか?  ある意味では、もちろん重心は実在しない。  たとえばサッカーボールの重心には何もない。空気しかない。ボールの重心はまだしも内部の点だが、ドーナツの重心は内部の点ですらない。  しかしまた、ある意味では、もちろん重心は実在する。実在するとの前提の元で行われる...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2012年2月版

『虫を食べる文化誌』★  梅谷献二著。虫だー! 『ヒドラ――怪物?植物?動物!』★  山下桂司著。ヒドラだー! 『ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方』★★★★★  ブライアン・ヘイズ著。どこで知ったか忘れたけど、久々に素晴らしい数学エッセイ集。 『よりぬきあさりちゃん』★★★  室山まゆみ著。懐かしい。いま読んでも面白い。 『脳のなかの万華鏡---「共感覚」のめくるめく世界』★  リチャ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ36 大きな鍵

【第35回】 【目次】 【第37回】  ある現象を理解するということは、何が変化して何が不変であるかを、理解することだと言える。  何も変化がないのであれば、そもそも考えるべきことが存在しないであろうし、何もかもが変化してしまうなら、やはり考えるべきことが存在しないであろう。  たとえば物理学であれば、変化しない保存量が何かがわかれば、その保存則を用いて現象を理解したり予測したりすることができる。...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年9月版

『合衆国再生―大いなる希望を抱いて』★★★★  バラク・オバマ著。もうすぐ大統領選の年。今更だがやっぱオバマはまともだ。もちろん私は選挙権ないけど再選を希望する。 『ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関係』★★★★★  ハロルド・ハーツォグ著。すばらしい。動物と人間の関係ものでは『動物感覚』以来の一押し。 書評 「ぼくらはそれでも肉を食う」 - shorebird 進化心理学中心の書評など...