科学

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ35 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 8/8

【第34回】 【目次】 【第36回】  さて長かった*1『イルカと話す日』の本文も、ついに今回が最後である。名残を惜しむとともに、抜かりなくここまでのまとめと今後の展望についての準備を始めよう。 第一〇章 生態系の一員としての自覚を持った科学的観察者  これまで科学者といえば、実験を行ない、こうした実験から自分なりの推論を引き出し、学術論文を発表する者のことであった。(中略)科学者は、学術誌や学会...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年8月版

『スーパーセンスーーヒトは生まれつき超科学的な心を持っている』★★  ブルース・M・フード著。副題の通りの内容。よい。 書評 「スーパーセンス」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 『赤ちゃんはどこまで人間なのか 心の理解の起源』★★★  ポール・ブルーム著。タイトルほど赤ちゃん中心ではなく、むしろ上の『スーパーセンス』に近いテーマ。これもかなりよい。 書評 「赤ちゃんはどこまで人間...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ34 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 7/8

【第33回】 【目次】 【第35回】  前回から3年弱も間が開いてしまったが、何事もなかったように再開しよう。あと2回ほど『イルカと話す日』を続けたあと、リリー博士のまとめに入る。 第三章 クジラ類との異種間コミュニケーションに必要な諸科学  一九五五年から現在までのあいだに、異種間コミュニケーションを実現するためには、事実や理論を理解するためにさまざまな科学が必要だということが明らかになった。こ...
科学技術哲学

エドワード・O・ウィルソン『人間の本性について』

エドワード・オズボーン・ウィルソンのピュリツァー賞受賞作。内容はタイトル通りで、賞に相応しい素晴らしさ。  私が生まれた年の本だが、いま見てもそれほど古びていない。問題になりそうなほど古いのは、同性愛を擁護するのにヘルパー説に頼っているところぐらいか。  同じ人間が『創造』みたいなすっとこどっこいな本を書いたとは、なかなか信じられないほどだが、この本のラストには、それに繋がった問題意識がすでに見ら...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年7月版

『ホロコーストを知らなかったという嘘―ドイツ市民はどこまで知っていたのか』★  フランク・バヨール著、ディータァ・ポール著。みんな薄々わかっていることながら、まあタイトル通り。 『図解・感覚器の進化』★★★★  岩堀修明著。久しぶりにすごくいいブルーバックス。図解多し。おすすめ。 『プルトニウムファイル』★  アイリーン・ウェルサム著。ちょっと今話題の方向性とはずれてるけど、プルトニウムはプルトニ...
科学技術哲学

ジェームズ・ロバート・ブラウン『なぜ科学を語ってすれ違うのか――ソーカル事件を超えて』

東大生協で見かけて、あまり期待せずに読書リストに突っ込んでおいたものだったが、予想外に素晴らしかった。  ソーカル事件に関するものの中では、『知の欺瞞』そのものは別として、私の知る限り一番いい本だと思う。  いま何やかやで時間をかけられないので、内容そのものには詳しく触れられないが、このあたりの問題に興味のある人には、強くオススメしておく。 参考リンク なぜ科学を語ってすれ違うのか:みすず書房 海...
科学技術哲学

ニコラス・ウェイド『宗教を生みだす本能 ―進化論からみたヒトと信仰』

原題"THE FAITH INSTINCT"。スティーブン・ピンカーの"THE LANGUAGE INSTINCT"(『言語を生みだす本能』)を意識して、その向こうを張ったものだ。  宗教を生み出し運用する能力は、言語を生み出し運用する能力と同じく、集団を内部で結束させ、他集団との戦闘などで有利にするために、進化によって積極的に選択された本能であり、何かの副作用でたまたま生じたわけではない。  と...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年5月版

最近読んだり見たりしたもの、またはずっと紹介したいと思っていたものの中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 『チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話 植物病理学入門』★  ニコラス・マネー著。菌類による病害。読み物としての面白さはやや欠けるけど、あまり類似作がないので一応。 『Fate/Zero 第四次聖杯戦争秘話 』★★★  虚淵玄著、武内崇著。魔まマから虚淵...