2016 11/23

 というエントリを以前書いたが、最近もうひとつ別の要素も大きく関わっているのではないかと思うようになった。

 これはニセ科学に騙されているとか不安商法に踊らされているというよりも――その要素は実際あると思うが――ある種の呪術であり、自ら信じたいのではないかと。

 そのベースになる考え方はすでに一度書いている。

 子供の知的発育は非常に重大なことである。にも関わらず、現実的で有効な対処法は存在しない。存在しても、それをそうと確信することはできない。まじないが流行る絶好の問題だ。

 流行するまじないは、実行可能であり、適度なもっともらしさと困難さを備えていなければならない。

 実行は可能だ。大抵の家庭にはテレビがあり、当然ついていることもよくある。実行可能でも負担が大きすぎて生活に支障が出るようではだめだが、そんなことはない。テレビを消しても死なないし、真剣に困ることもまずない。

 逆にあまり簡単すぎるのも、ありがたみが無くなるので駄目だ。これもクリアする。テレビを見たがる子供をなだめたり、自分で相手をしたりするのも、「ちょっと頑張ったな」と思えるほどの負担ではある。

 ……完璧に当てはまっているように思える。

 子供の知能という重大な事柄が、遺伝のようなもう変えられない要因や、まだ誰も解明していない偶然の要因に左右されているというのは不安だ。だからそれを制御しうると、確実にプラスになることをしていると信じて安心したいのだ。たとえ根拠薄弱だと知っていても。

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2016 10/30

 久々に単独エントリでおすすめしたくなった本。個別には、どれもすでに聞いたこともあるような話ではある。しかし、全部まとめて一貫して説明されると、わずかなりとも世界観を揺るがされるような話でもある。

 アレルギーの衛生仮説はなんとなく外部の細菌・寄生虫ばかりに目が行っていたが、常在菌に関するものである可能性もあるのか。

 肥満や胸焼けはともかく、自閉症にさえ腸内フローラの影響があるかもしれないというのは、にわかには信じがたいほど衝撃的。

 あと、本の内容とは関係ないが、訳者の長崎大学熱帯医学研究所・国際保健分野主任教授は例のアレと同姓同名で実に気の毒。

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2016 1/25

『大脱出――健康、お金、格差の起原』★

 アンガス・ディートン著。ノーベル賞経由。とりわけ新しい知見はなかったが、いい。

『数学の大統一に挑む』★

 エドワード・フレンケル著。NHK経由。ちょっとクセがあるが面白い。

『惡の華』★★

 押見修造著。レンタルで全巻一気読み。アニメ未見。前半の変態大戦争は結構面白かったが、後半は狙いすぎて逆にありきたりみたいな。

『彼岸島』★★★★

 松本光司著。みんなお馴染み吸血鬼ギャグ漫画。自分は昔から立ち読みしてたが、今回なぜか妻に刺さって、改めてレンタルで全巻一気読み。

『0ベース思考—どんな難問もシンプルに解決できる』★★

 スティーヴン・レヴィット著、スティーヴン・ダブナー著。『ヤバい経済学』コンビ。それにしては普通か。

『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』★★

 結城浩著。みんなお馴染み結城先生。

『仮想通貨』★★

 岡田仁志著、高橋郁夫著、山崎重一郎著。ようやくビットコインとかIT・ギーク界隈以外でも聞くようになってきたような。ビットコインの仕組みを少し詳しく知りたい人におすすめ。

『夢の守り人』★★★★★

 上橋菜穂子著。シリーズ3冊目。前2冊には微妙に劣る気がするが、それでも一級。

『紙の月』★★★★

 角田光代著。妻経由。小説としてすごく面白いかというと迷うが、なんか女性心理というか買い物依存症というか、色々理解の助けになった気がする。

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2015 12/14

『反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか』★★★★★

 ジョセフ・ヒース著、アンドルー・ポター著。話そのものは「ヒッピーからヤッピーへ」等のキーワードで知ってたし、批判的な人には当たり前な感じだけど、自身リベラルな人がこうやってまとめたところに価値があると思う。超おすすめ。

『ルールに従う―社会科学の規範理論序説』★★

 ジョセフ・ヒース著。他のに比べて専門的。それだけが理由じゃないと思うが、あまり面白くない。

『モラル・トライブズ――共存の道徳哲学へ』★★★★★

 ジョシュア・D.グリーン著。超いい。内容は例によってshorebird先生にお任せ。全体に良いが、部分的に特に印象に残ったのは2点。

 問題となる事態が、スタック領域を必要とするような複線化した論理の先にある場合、道徳的直感が働きにくくなる、ということ。どうしても人を殺さなきゃならんことがあったら参考にしよう(笑)。

 権利を根拠にする主張は原理的にトートロジーにしかなり得ないので、終わった議論を蒸し返さないことには利用しても、現在進行形の真剣な議論には利用すべきでない、という主張。実践的で良い提言だと思う。

『ダブル・スター』★★★★★

 ロバート・A. ハインライン著。古さは否めないけど、抜群におもろい。

『学力の経済学』★★★★★

 中室牧子著。とても良い。自分の子育てにも参考にしよう。もっと日本の教育政策もエビデンスベースにしていってもらいたい。

『闇の守り人』★★★★★

 上橋菜穂子著。前作も相当だったが、さらにそれ以上。これはシリーズ全部行かねばならんか。

『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』★

 峯村健司著。制限されない権力ってのは勿論ろくでもないけど、傍目には面白いよなあ。男のロマンというか。

『ウンコな議論』★

 ハリー・G・フランクファート著。『啓蒙思想2.0』経由。bullshitはウソとは違う。嘘つきは少なくとも何が本当かわかっているが、bullshitを言う者は、そもそも何が本当かなど気にしていない。それ故しばしば嘘つき以上に手強い真実の敵である。……というのが大意。

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2015 11/23

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』★★★

 安彦良和著、矢立肇著、富野由悠季著。Kindle版が激安セールやってたときに12巻ぐらいまで読んだ。思ったよりかなり面白い。

『人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動』★★★

 マーク・ブキャナン著。この人の本どれも似たような感じだけど、これが一番おすすめかな。

『東方外來韋編 Strange Creators of Outer World. 壱』★

 雑誌が幻想入り。こういう雰囲気は正直好きだ。普通なら許せるクオリティではないが、まあお布施と思って。

『「子供を殺してください」という親たち』★★★

 押川剛著。ひいい。まあ商売上いくらか盛ってるのかも知れんけど、こわいよお。

『メイドインアビス』★

 つくしあきひと著。しんざきさん経由。十分面白いけど無駄(?)にロリくさいのがもったいない。

『超実録裏話 ファミマガ 創刊26年目に明かされる制作秘話集』★★★

 伝説の野球拳。なんか黎明期の熱量みたいなものが伝わってきて好き。

『輪廻の蛇』★

 ロバート・A. ハインライン著。映画化と聞いて。期待ほどではなかったが。

『擬態の進化―ダーウィンも誤解した150年の謎を解く』★

 大崎直太著。

『シドニアの騎士』★★★★

 弐瓶勉著。きれいに完結してよかった。『BLAME!』の映画化はどうなるのかなあ。

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2015 8/26

『人はなぜ感じるのか?』★★★

 ビクター・S・ジョンストン著。めちゃくちゃ要約すると「情動は動機や学習のための評価関数である」という話。なんか今だと当たり前のようにも思えるが、面白い。

『やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~』★

 ハイディ・グラント・ハルバーソン著。やる気本。悪くはないが、やや散漫。

『思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-』★★★★★

 ダニエル・C・デネット著。これはいい。思考法本としてもデネット入門としても最高。

『最速の仕事術はプログラマーが知っている』★

 清水亮著。いいけどすすめる対象に迷う感じ。プログラマーなら大体既知そうだし、プログラマー以外には若干読みにくそう。

『プログラミングバカ一代』★

 清水亮著、後藤大喜著。自伝。shi3zさんに興味ある人だけ。

『ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack』★

 Joe Kutner著。プログラミングが原因ではないけど、最近運動不足だし、腱鞘炎を再発させないように読んでみた。座業の人は読んでおいて損はないと思う。

『なぜエラーが医療事故を減らすのか』★

 ローラン・ドゴース著。よくわからない邦題だが、原題は『エラー礼賛』らしい。ヒューマンエラーは原因ではなく結果であり、責任追及を恐れず原因究明できるようにすべき、という内容。当たり前のような気もするが、実現していくのは大変だろうな。

『僕だけがいない街』★★★★

 三部けい著。6巻まで読んだ。真犯人はやっぱりバレバレだったけど、それがわかっても消化試合(?)的にさせないのがさすが。後はどう終わるかか。

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2015 2/17

『大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか』★★★

 ガブリエル・ウォーカー 著。なかなかいい啓蒙書。

『精神科医が教える集中力のレッスン』★

 西多昌規著。特段新しい知見はなかったが。

『世界一即戦力な男――引きこもり・非モテ青年が音速で優良企業から内定をゲットした話』★

 菊池良著。ちゃんと見てなかったがあのときのネタか。

『気が遠くなる未来の宇宙のはなし』★

 佐藤勝彦著。

『なぜあの人はあやまちを認めないのか』★★★

 エリオット・アロンソン著、キャロル・タヴリス著。自己欺瞞ブームの後なので、ちょっと物足りない面もあるが、「認知不協和」「自己正当化」で一本筋が通っていて良い。

『努力する人間になってはいけない―学校と仕事と社会の新人論』★

 芦田宏直著。どこで目に止まったのか忘れた。あまり好みではないが、著者はなかなか面白そうな人だ。

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2014 10/25

『脳科学は人格を変えられるか?』★★★★

 エレーヌ・フォックス著。タイトルが内容と一致してない。いわゆるポジティブ脳とネガティブ脳の話。なかなか興味深いしライフハックとしても役に立ちそう。

『人類5万年 文明の興亡: なせ西洋が世界を支配しているのか』★

 イアン・モリス著。それほどすごいと思わなかったが、定量志向が珍しかったので。「西洋オワコンって結論にしとくから、途中で多少偏見みたいなこと言っても許せよな」みたいなサブテクストがあるような気がするのは意地悪過ぎかね?

『ヤモリの指から不思議なテープ』★★★★

 松田素子著、江口絵理著、石田秀輝監修、他。内容的には『ヤモリの指』に近いが、イラストたくさんでかなりいい。子供に読ませたい。

『パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門: 怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!』★

 小林浩志著。このテーマでまとまったものは読んだことなかったので。

『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』★★

 ケヴィン・ケリー著。うーん、全体として悪くはないけど、この人やっぱり自然信仰から文明信仰に転向しただけで本質はヒッピーっぽいんだよねえ。

『スタイルズ荘の怪事件』★

 アガサ・クリスティー著。なんかテレビでポワロやってたので。

『インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針』★

 Susan Weinschenk著。なんとなく『Mind Hacks』を彷彿とさせた。『Mind Hacks』の完成度には遠く及ばないが。

『振り込め犯罪結社 200億円詐欺市場に生きる人々』★★★★★

 鈴木大介著。やばいなんかめちゃめちゃ面白い。近いうちに『闇金ウシジマくん』で振り込め詐欺君編でも始まりそうな気がする。

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