おすすめ本書評まとめ2022年9月版

『インターネットは言葉をどう変えたか デジタル時代の〈言語〉地図』★

 グレッチェン・マカロック著。ちょっと面白い。「絵文字」の発明と一般化は人類史的に意外に大きな一歩になるかもしれないと思うようになった。

『国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ』★★★

 ピーター・ターチン著。まだまだ始まったばかりの分野という気はするが、それだけに興味深くもある。

『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた 進化心理学が教える最強の恋愛戦略』★★★★★

 タッカー・マックス著、ジェフリー・ミラー著。性にまつわる進化心理学の啓蒙書としても、自分や息子(いれば)のための実用書としてもおすすめ。邦題については、売らんかなの気配は拭えないものの、まあ適切ではあると思う。

『ファーストスター 宇宙最初の星の光』★★

 エマ・チャップマン著。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡関連で読んだ。普通に面白い。

『意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで』★★★★

 マイケル・グラツィアーノ著。一見非合理な「意識」だが、注意という内的リソースを管理する仕組みを進化で設計するなら自然にそうなる。……という主張自体に驚きはないものの、説得力のある内容だと思った。個別の話題としては「視線の圧力」を実験で測定することができるという話が印象に残った。

『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』★★★

 ブライアン・ヘア著、ヴァネッサ・ウッズ著。『善と悪のパラドックス』の内容とほぼかぶり、付け加えるものはあまりない。ただし政治的な部分に踏み込んでいて価値はあると思う。ジェノサイドがヒューマンユニバーサルな進化産物と認めれば、いわゆるヘイトを「非人間化」として科学的・客観的に扱う道が開けるかもしれないと思う。

『自由なき世界 フェイクデモクラシーと新たなファシズム』★

 ティモシー・スナイダー著。ロシアの軍事侵攻がらみ。同じような内容ばかり続いてちょっと辟易するが。著者は『ブラッドランド』の人。

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』★

 ベス・メイシー著。『絶望死のアメリカ』を先に読んで、オピオイド危機について深掘りしたければどうぞ……という感じ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました